赤ちゃんと対面
「赤ちゃんを見たくなったらいつでも言ってくださいね」
と言われて,速攻,「見たいです」と答えていた.
「キレイにしているので終わったら連れてきますね」
と言ってから程なくして看護師さんが,連れてきてくれた.
片手に乗るくらいのそれはそれは小さな小さな赤ちゃんだった.
折りたたまれたタオルの上に,小さい着物を着て頭にガーゼをかぶっていた.
見えた時に,「ああ」っと私の体の奥から声が出た.やっと会えた感動と喜びだったのかな.
思っていたよりも赤くて少しびっくりしたけれど,とてもとてもかわいかった.
涙が止まらない.「ああ,かわいい」と思わず言ったら,看護師さんも,「かわいいですね」って言ってくれて驚いた.すごーく嬉しかった.
着物をあけて体も見せてくれた.
赤く透き通っていた,骨とか,腸も透けて見える,とてもきれいだった.
「11センチ,30グラムの男の子でしたよ」って.
そのあと,先生や他の看護師さんも来て,この子の顔を見てくれて,かわいいだとか,顎がご主人に似ている,とか,きれいな顔,とか褒めてくれて,ほんとにほんとに嬉しかった.
それから手術までの間,ずっと一緒にいさせてもらった.
その時間は母と子のとても幸せな時間だった.
よーく顔を観察した.もうじろじろと細部まで.最初は見れるんだろうかって心配していたけれど,心配することはなかったな.
まだ皮膚が薄いのか,無いのか?わからないけれど,全身が筋肉の色をしていて,顔はまぶたの線が薄く横にすうっと入っている.その奥に黒い目が透けて見える.鼻はまだ出来ていないけれどほんとに小さな穴が2つ.軟骨が見える.顎はややしゅっと細い感じ.耳はやや下についている印象.
手は一つ一つの骨が緻密に並んでいるのが見えた.足の指も.細かく小さく,繊細に.
なんてきれいなんだろうって思った.腸も透けているんだけれど,それがきちんと折りたたまれてお腹に収まっていて,もう,驚いた.人間ってすごいな,と.
全身がぷくぷく,ぷりぷりしていた.
かわいい.
顎が旦那だと言われたら,旦那に似ているように思えてなおさら愛おしくなった.
自分の要素も探したくなった,けれど,見つからなかった,まだ,ホントは個体差なんてないよね.