火葬 一瞬の晴れ間
しばらく時間がかかるということなので,
私たちは,待合室で待機をしていた.
時間がかかると言っても,本当に小さな子なので,
そう長くはないだろうなと思って待っていた.
私が,「骨は残るかなあ」とつぶやくと,
夫は,「人間の中で一番大きな骨は大腿骨だから,
大腿骨は残るかもしれないけれど,わからんねえ.」
と言った.
そういうようなことを話していると,
本当に今でも不思議なんだけれど,
暗かった空がぱーっと明るくなって,
青空になった.
来る時はどしゃぶりだったんだけれど,
光が射してきて,
抜けるような青空になった.
夫がそれを見て,
「あの子は迷うこと無く行けたね」と言った.
私もそう思った.
スピリチュアルは好きじゃないけれど,
あの一瞬,青空になったのは,
あの子が私たちにさよならの挨拶をしたのか,
ちゃんとお空にいけましたよ,って
報告したのか,
そういうことなんじゃないかと思った.
なんだか安心したような,
すっきりした気分になった.
そして少し,嬉しい気持ちにもなった.
その晴れ間は一瞬で,
すぐにまた暗くなって曇り空になった.
そして,担当さんが呼びに来た.