お空

2018年2月6日死産の記録

私は小さい頃に身近な人を亡くしている.

あの時いろんな大人が,「お空で見守っているよ」とか「星になったんだよ」
って言った.
今まであったかかったのに冷たくなって,かたくなって,焼かれて,骨と灰になって,
お墓の穴に入れられた.
そんな現実を知っている私は,もともと現実的な子どもだったこともあって,
その言葉が,ほんっとうに嫌だった.胸くそ悪いとはこのことだ.
でも.その大人たちが気を使ってくれていることは分かっていたから,
「そうですね」って表面上は言った.
こういうときは子どもはそうなんだって納得したふりをすれば大人は満足するんだし,
そうやって慰めたってことが大人にとって大事だろうから.
なんて思って心はとっても冷めてた.

だって,冷たくなって,かたくなって,かたくなってしまったから手を組ませるのに大変で,
葬儀屋さんは何度も何度もギューギュー曲げようとして,
やっと死人の格好にして...
こんなのを直視して,
それなのに,

「お空がー」とか「お星様が−」とか,きれいなことを並べられてさ,
なんなんですか,
こんな時にメルヘンですか!?

って思うわけなんだ,だいたい近い関係の人はそんなことは言わなかった.
遠い関係の人ほど言うもんだから,さらに,そういうメルヘンな言葉に嫌気がさした.

でも,今,わかったことがある.
赤ちゃんが亡くなって,この本に出会って,この本が赤ちゃんのお空を書いていて,
それがすうーっと心に入ってきて,ああ,お空にいるんだって思えた.
あんなに「お空」が嫌いだった私にすうーっと入ってきて納得した.
今では,あの子は「お空」みたいなところにいると思っている.

多分,こういう死生観みたいな話は,
自分自身が納得して受け入れないことには,響かないし,
人を傷つけることもあるんだろうな,と.そう思った.

もし誰かが「死」のことで悲しんだり悩んだりしていたら,
「安易な」「お空」は言ってはいけないと思う,
そんな常套句に人の心が慰められるはずがないんだ.
看護師さんが,読んでも読まなくてもいいって言ってそっとこの本を置いてくれたように,
その時に掛けてあげたい言葉があっても,丁寧に見極めて,そっと寄り添えるような人になりたい.

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Posted by poyogami